後漢書の内容
ここでは、後漢書の中で倭国・倭人に関して記述している部分についてのみ抜粋・記載します。
なお、()内は李賢らが付けた注釈に当たります。

朝鮮半島
朝鮮半島の記述に、少しだけ倭に触れている部分があります。
韓有三種
『後漢書』巻85 東夷列伝 韓条
一曰馬韓二曰辰韓三曰弁辰
馬韓在西有五十四國 其北與楽浪南與倭接
辰韓在東十有二國 其北與濊貊接
弁辰在辰韓之南亦十有二國 其南亦與倭接
凡七十八國 伯濟是其一國焉 大者萬餘戸小者數千家 各在山海間
十有二國の”有”は現代語の「プラス、また、と」のようなニュアンス。
よって「十有二國」は10と2国(= 12国)となります。
例文として、論語より「吾十有五にして学に志す。三十にして立つ。四十にして惑わず。(50~70は省略)」
”有”という表現は10~19の際に使用するもの?
下図は1~4世紀頃の朝鮮半島の勢力図( ハイパー世界史用語集 より引用)です。

魏志倭人伝は『三国志』の中の一部で、その三国志の中には朝鮮半島について記述した、通称「魏志韓伝」があります。
以下は魏志韓伝の中から、後漢書の内容に近しい部分を抜粋したものです。
韓在帯方之南。東西以海為限南與倭接。方可四千里。有三種一曰馬韓二曰辰韓三曰弁韓。辰韓者古之辰國也。
魏志韓伝から該当部を抜粋
馬韓:凡五十餘國。大國萬餘家小國数千家。揔十餘萬戸。
辰韓:始有六國稍分為十二國。
弁辰:弁辰亦十二國。十二國亦有王。
後漢書 | 魏志韓人伝 | |
---|---|---|
韓の全容 | 韓有三種。 一曰馬韓二曰辰韓三曰弁辰。 | 韓在帯方之南。東西以海為限南與倭接。方可四千里。 有三種。 一曰馬韓二曰辰韓三曰弁韓。辰韓者古之辰國也。 |
馬韓 | 馬韓在西有五十四國。 其北與楽浪南與倭接。 | 馬韓在西凡五十餘國。 是後倭韓遂属帯方。 |
辰韓 | 辰韓在東十有二國。 其北與濊貊接。 | 始有六國、稍分爲十二國。 |
弁辰 | 弁辰在辰韓之南亦十有二國。其南亦與倭接。 凡七十八國。 | 弁辰亦十二國。十二國亦有王。 |
百済 | 伯濟是其一國焉。大者萬餘戸小者數千家。各在山海間。 | 記述なし |
魏志韓伝には、倭がどの国と接しているかは明記されていません。
一方後漢書には、馬韓と弁辰が倭と接しているとしています。
正確には、魏志韓伝は韓の歴史が長々記載されていて、後漢書はそれを簡潔にまとめた結果、倭と接したという結論になったと思われています。
そのため解釈が正しいのかどうか、という議論が必要です。
また先述の通り、「魏志倭人伝に無く後漢書に有る」という記述自体、信憑性が怪しいです。
山海經
一曰登北氏蓋國在鉅燕南倭北倭屬燕倭
【注釈】國在帶方東大海內以女為王其俗露紒衣服無針功以丹朱塗身不妬忌一男子數十婦也
『山海経』巻第12 海內北經
原文を読む@中國哲學書電子化計劃
2025.01.14 閲覧確認
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