古代中国の皇帝に対して周辺国が職貢する様子を図解した職貢図。
倭人についての記述がありますが、具体的にいつ頃の時代を様子かは確定しておらず、邪馬台国論争の材料にできるかどうかは怪しい部分があります。
職貢図とは
古代中国王朝皇帝に対する周辺国や少数民族の進貢・職貢1の様子を表した絵図です。
貢職図とも呼ばれ、複数の時代の図が確認されています。
特に南朝梁の梁職貢図が有名ですが、これは倭国に関する絵があるためです。
職貢図はあくまで職貢の様子を描いた絵図であるため、閻立本版では婆利・羅刹・林邑の三国の使節団の様子が描かれているなど、必ずしも周辺国を網羅しているわけではありません。
資料データ
原本 | 模本(唐) | 模本(南唐) | 模本(北宋) | 模本(清) | |
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著者 | 蕭繹 | 唐閻立 | 顧徳謙 | 不明 | 張庚 |
成立年 | 539年頃 | 650年頃 | 937~975年 | 1077年頃 | 1685~1760年 |
内容
ここでは、倭に関する絵図のみを扱います。
王会図

唐時代の画家・閻立本(えんりっぽん)が描いた職貢図は、台湾国立故宮博物院所蔵で、『王會圖(王会図)』とも呼ばれています。
図のみで文が無いことが特徴です。
原文を見る@故宮典藏資料檢索
顧徳謙による模本

南唐(937~975年)時代の画家・顧徳謙が描いた職貢図も、台湾国立故宮博物院所蔵です。
『五代南唐顧德謙摹梁元帝番客入朝圖 卷』という名前で保管されています。
こちらも図のみで文がありません。
原文を見る@故宮典藏資料檢索
蕭繹職貢図
北宋の熙寧年間に描かれた職貢図は『蕭繹職貢図』と呼ばれ、中国国家博物館が所蔵しています。
原本は6世紀に南朝梁の元帝の時代(526~539年頃)に作成されたとされていますが、原本は失われています。
現存するものは、1077年頃に模写された宋人摹本残巻です。
全体としてみても内容が欠落している他、倭国の説明文には表面が剥げているなど不完全な状態です。

倭國使
『蕭繹職貢図』(宋人摹本残巻)
倭國在帯方東南大海中依山島居自帯方循海水乍南乍東對
其北岸歷三十餘國可万餘里倭王所▲▲在會稽東氣暖地温
出眞珠青玉無牛馬虎豹羊鵲 (欠落) 面文身以木綿帖首衣
横幅無縫 (以下欠落)
諸番職貢圖巻
『愛日吟廬書畫續録』には張庚が作成した『諸番職貢圖巻』という職貢図が収録されています。
倭国の話がありますが、北宋版の職貢図とは異なっています。
斯羅國(…中略…)或屬韓或屬倭
『愛日吟廬書畫續録』卷五清 7 张庚诸番职贡图卷(諸番職貢圖巻)

倭國在東南大海中依山島為居地氣暖
『愛日吟廬書畫續録』卷5清 7 张庚诸番职贡图卷(諸番職貢圖巻)
出珍珠青玉無(※1)黥面文身以木綿帖頭衣
横幅無縫但結束相連好沈水捕魚蛤婦人只被髮衣如單被
穿其中貫頭衣之男女徒跣好以丹塗身種禾稲麻苧蠶(※2)桒出袖布縑錦
兵用矛盾木弓箭用骨為鏃其食以手器用籩豆死有棺無槨齊建元中奉表貢獻
※1:欠落している。「牛馬虎豹羊鵲男子皆」と思われる。
※2:蠶は簡体字では蚕2つになるらしい。当サイト管理には未確認。
注釈・参考資料など
- 中央政府への貢ぎ物 ↩︎
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